大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)1211 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人小野善雄の上告理由について。

所論は、被上告人が上告人に対して判示旧建物を自由にとりこわすことにつき承

諾を与えた旨を主張して、右承諾の存在を以て同建物と判示新建物との同一性を判

断する資料とすべきもののようにいい、また、原判決は旧建物と新建物とのそれぞ

れ全体を比較して旧建物が同一性を失つたかどうかを判断すべきであるのに、これ

を怠つた違法があるという。しかし、被上告人が上告人に対して所論のような承諾

を与えたことは原審の認定するところではなく、また原判示によれば原審は新建物

と旧建物とをそれぞれ全体として比較して旧建物がその同一性を失つていないもの

と判断していることが明らかであるから、所論のような違法は存しない。所論は結

局、原判決の認定しない事実を前提とし、または原判決を正解しないで、原審のな

した事実認定判断を非難するに過ぎないから、採用できない。

また所論は、被上告人が上告人に対して旧建物の改造について承諾を与えたもの

であつたとすれば、右改造部分は上告人の所有に属することが明らかであるのに、

原審には右改造部分の所有権の帰属につき審理を尽さず判断を怠つた違法があると

いう。しかし、賃借人が賃貸人(建物所有者)の承諾を得て建物の増改築工事をし

た場合、その増改築部分が既存建物の構成部分となり独立の所有権の客体となり得

ないときは、右増改築部分は建物所有者の所有となるものというべきところ、原判

示によれば、上告人の改造によつて判示旧建物が店舗兼居宅たる一棟の判示新建物

となり、右改造部分は旧建物の本屋と一体をなすものとして築造され、新建物が全

体として旧建物との同一性を失つていないというのであり、即ち右改造部分が上告

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人の所有に属するものとの主張を排斥する趣旨であることを窺うに難くないから、

所論は理由がない。

更に所論は、判示旧建物と同新建物との同一性に関する原審の判断を争うけれど

も、この点につき原審がその挙示の証拠に基づいて認定したところによれば、旧建

物が全体として同一性を失つていないとの原審の判断は、すべて首肯できるところ

である。所論は結局、原審の専権に属する事実認定、証拠の取捨判断を非難するに

過ぎないから、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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